風早小夜子のブログ

本の紹介とか。漫画の紹介とか。考えてることとか。いろいろ。

穂積「僕のジョバンニ」柳本光晴「響〜小説家になる方法〜」才能に打ちのめされた人へ。

こんにちは。

サクサク連投いきますよ、okapです。

 

今回は、穂積さんの「僕のジョバンニ」を紹介します。

とても大好きな漫画家さんです。

「式の前日」「さよならソルシエ」なども好きです。

 

僕のジョバンニ 3 (3) (フラワーコミックスアルファ)

僕のジョバンニ 3 (3) (フラワーコミックスアルファ)

 
僕のジョバンニ(2) (フラワーコミックスα)

僕のジョバンニ(2) (フラワーコミックスα)

 
僕のジョバンニ(1) (フラワーコミックスα)

僕のジョバンニ(1) (フラワーコミックスα)

 

 

「僕のジョバンニ」は、現在コミックで3巻まで出ています。

チェロにまつわる、二人の少年のお話です。

 

 

そして、才能の残酷さを描き出す作品でもあります。

 

 

読んでて、とてもキツイ。

身に覚えのある感情が、たくさん描かれています。

 

 

「俺だって…っ    天才になりたかった!!!」

 

 

私だって、なれるもんなら天才になりたかった。

 

高校生のとき、大学生のとき、自分と同じような年齢でデビューを飾る小説家を見ては嫉妬して、本を読んで打ちのめされ。でもそんな自分を認められなくて、作者の年齢には興味のないふりをした。

友だちと一緒に応募した中高生向けの文学賞で、友人の書いたものの完成度の高さに動揺した。その子は入賞したけど、自分はかすりもしなかった。

 

小説が好きだからこそ、力量の違いがはっきり分かる。

いやになって、ずっと読む側になって生きていこうと思った。

 

それから、受験勉強やらで忙しくなったし、大学生になってからも、部活にゼミに委員会にバイトに、忙しく過ごした。

 

お話を書きたいと思わなくなっていた。

だから、このままでいいと思った。

でも今、また戻ってきている。

 

 

ここまで書いて、これまた最近読んだ「響」も近いなと思ったので、急遽追加します。

ちょうど、今、映画が封切られてますね。映画も観に行きたい。

 

 

恐ろしく感性の豊かで、自分を曲げない響。

変人・奇人を地でいく彼女の小説が、そして、彼女自身が、多くの人を動かしていきます。

 

「僕のジョバンニ」でも、「響」でも、天才に打ちのめされた凡人が登場します。

「僕のジョバンニ」では、自分なりにどう戦っていくのか、これから描かれていくんでしょう。

「響」では、様々な人が登場します。スッパリ小説を諦めて、幸せな人生を送る人。粘っても粘っても、報われずに、そっと文壇から消えてしまう人。もう辞めようと思ってから、もう一年粘って、人生を変えた人。身近にいて、打ちのめされながら、少しずつ自分のステップを登っていく人。

 

さて、自分はどうしようか。

 

突きつけられる現実は厳しいですが、勇気ももらえる漫画です。

窪美澄「水やりはいつも深夜だけど」うまくいかない人生に悩む人へ。

こんにちは。

ブログを書く時間はとれなかったものの、読んだ本がいくつかあるので、立て続けにはなりますが、紹介していきますね。okapです。

 

まず一つ目が、窪美澄「水やりはいつも深夜だけど」です。

デビュー作を収録した「ふがいない僕は空を見た」以来、初めて読みました。

 

 

 

こちら、短編集となっております。

それぞれ独立していながら、少しずつ登場人物が被っています。

 

 

描かれているのは、ものすごく日常です。

かっこいい主人公など、ただの一人も出てきません。

それぞれが、やるせなさを抱え、悩み、もがいています。

お話のなかでも、派手な救いは提示されません。

それでも、ちょっとだけ頑張ってみようかなと思えるお話です。

 

 

ママ友との付き合いが辛い人。

夫婦間で家事について喧嘩してしまう人。

なんとなく夫婦が噛み合わないと思っている人。

親が再婚して、新しい親が増えた人。

先天性の病気が見つかり、大好きなことが出来なくなってしまった人。

 

 

そして、それらは、未来の自分かもしれない。

 

そうなったときには、またこの本を手に取ろうと思います。

井上真偽「その可能性はすでに考えた」全く新しいミステリが読みたい方へ。

こんにちは。

昨日今日と、久しぶりに自炊しました。okapです。

死ぬほど簡単なスープとかしかつくれませんが、それでもコンビニよりはるかに良いなあと改めて思いました。

美味しいご飯、大事!

 

 

さて、本日紹介するのは、井上真偽(いのうえまぎ)「その可能性はすでに考えた」

ミステリーは普段あまり読まないのですが、あまりにも面白そうすぎて、買ってしまいました。

 

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

 

 

 

実際、死ぬほど面白かったです。

(以下、文庫本の背表紙レベルのあらすじと登場人物紹介をしますね)

 

 

まず、今までのミステリ界を覆すといっても過言でないのが、この探偵は、奇蹟の存在を信じており、それを立証しようとしていること。

その際に使う根拠は、人知の及ぶあらゆる可能性を全て否定できれば、それはもう人知を超えた現象と言える、ということ。

そのために、探偵は、全ての可能性を考え、かつ、それを否定するという離れ業を成し遂げようとします。

普通の謎解きとは、まるで性格が違いますね。

 

 

この奇天烈な探偵から始まり、同じぐらい強烈なキャラの登場人物たち、テンポのいい展開は、ゲームの面白さを彷彿とさせます。

ゼルダの伝説とか好きな人は、この小説も好きになるのではないでしょうか!

 

 

井上真偽さんは、これが初読なのですが、他の作品も是非読みたいと思いました。

(続編は購入済み)

でも、その前に、もう一度頭から読み直します〜。

 

百田尚樹「逃げる力」何が幸せか、分からなくなったときに。

こんにちは。

風邪が治りません。okapです。

はよ寝ろという話ですね。書いたら寝ます。

 

 

今日は、珍しく新書の紹介です。

百田尚樹「逃げる力」

地味に小説は「ボックス!」しか読んだことないですね。

百田尚樹といえば、物議を呼ぶ物言いも話題ですが、一旦そこは置いておいて。

 

 

逃げる力 (PHP新書)

逃げる力 (PHP新書)

 

 

 

本書では、ざっくり分けると、

・逃げることの利点

・逃げるためには

ということと、一方で

・逃げてはいけないとき

についても書いてあります。

 

 

ぐさっと来たのは、「逃げてはいけないとき」の内容です。

・好きな仕事をして生きようと考えると苦しくなる

・自分に合わないという理由で辞めるのは悪い逃げ方

 

はい、まさに何回か前の記事で「好きなことを仕事にしたい」と言いました。

 

okap0605.hateblo.jp

 

「合わない」「つらい」と仕事から逃げたい気分になっていますーー。

 

 

石の上にも三年。

まずは徹底的にやらないと、合うかどうかもわからない。

 

 

その通りでございます。

 

 

そうなんですよね。

自分に何のスキルもないまま、辞めてしまっていいのだろうか。

自分に向いていると思って入った職種で、違和感を感じているので、

次、自分が向いてると思った仕事を始めたとしても、これじゃないと思う可能性は十分にあります。

 

 

一番こわいのが、そうやって仕事を転々として、なんの取り柄もない人間になってしまうこと。

そうやって、自力で生きる力がないまま、実家にしがみついて、ろくな努力もせず、小説家になりたいと宣う。

死ぬほど嫌な未来予想図ですね……。

ダメなバンドマンの典型のような(偏見)。

 

 

 

自分の理想の生活は、

・その日どこに行くのも自由

・小説家になる

 

 

小説家になれれば、一つ目の理想も叶いそうですよね。

(実態はどうかは分かりませんが)

 

そのためには、デビューする必要がある。

そのためには、ネットで小説を公開して人気を出すか、文学賞を獲る必要がある。

そのためには、面白い・読みたいと思ってもらえる小説を書く必要がある。

そのためには、小説を書くうえでの自分の武器を把握する必要がある。

(戦略なしに名作が書けるなら、とっくにデビューしてるっつーの)

そのためには、自分が何を書きたいのか。誰に読んでほしいのか。これを明確にする必要がある。

そのためには、頭を振り絞って考えないといけない。

 

 

結局、ここまでくると、仕事と繋がってくるんですよね。

現在、会社員2年目ですが、今一番怒られるのが、

「意図を理解しないまま実行に移すから、ただの作業になっている」ということ。

何年も働いている先輩方からすれば、当たり前にできることでしょうが、まだその当たり前ができないぺーぺーです。

幸い、自分の裁量で決められる部分が多い職種ではあるので、安定したお金をもらいつつ、自分の足りない力を伸ばす土台として、有効活用する手もあります。

休みが少ないのと、やや長い勤務時間が玉に瑕ですが。

 

 

と、ここで、「逃げる力」 の最終章に、

・幸せの絶対基準を持っているか

という話がでてきます。

 

 

自分の人生にとって、何さえあれば幸せなのか。

 

 

考えてみました。

・家族

・読みたい本を買えるだけのお小遣いと、読めるだけの時間

 

 

これだけかなあ。

(友人各位については、私の手には負えないので、自分の身は自分で守ってくれ。そんで一緒に遊びましょう)

 

 

ん、今の私の生活、結構幸せやん?

一人暮らしだけど、実家は割と近いのでよく帰るし、彼氏とも会いたいときに会えてるし(ありがとう)、本を楽しむ生活をしているのは、こんなブログをやってる時点で明白だし

 

 

最近、仕事が「しんどーい」「苦しーい」という感じだったので、意外な着地点に落ち着きました。

精神的に病んでいるわけではないし、もう少し、頑張ってみましょうかね。

そのかわり、心と体の声に気をつけて、無理!と思ったら自分を守るために全力ダッシュで逃げます。

 

終わり!

 

 

取り敢えず書き上げました!

こんにちは。

明日からまた仕事だと思うと、若干憂鬱です。okapです。

しかも、寝倒してたので、あまり眠くありません。ピンチ。

 

 

ポツポツ書いてた小説が、取り敢えず書きあがりました。

一安心ですね。

とはいえ、直しの方に時間をかけるべきらしいので、本当の作業はこれからでしょうか。

 

 

中高生の頃は、頑張って頑張って小説書くぞ!って思っても、めったに書けなかったので、少しは成長したのかなとも思います。

あれから、たくさん本も読んできたしね。

恋もしたしね。

そりゃ8年も経てば人間変わりますよね……。

あとは、自由にパソコンを使えることも大きいでしょうか。パソコンというかiPadにキーボードつけて書いてますけどね。手で書くよりハードルは下がるよね。

 

 

あとは、推敲をして、応募したらまた報告しますー!

【第21話】隙名こと『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』思い出したくない過去から目を背けたい人へ。

こんにちは。

かなり体調もよくなってきた気がするので、本屋さんまで遠征してました、okapです。

買いたかった本から、目に付いた本まで、購入できたので良かったです。

ぼちぼち読んで、また更新していきます。

 

そんなわけで、隙名ことさんの『水品さん』読みました。

ツイッターで作者さんが宣伝しているのを見かけて、気になっていたので。

こういう出会い方ができるようになったのは、とてもおもしろいなあと思います。

 

 

平凡な男子高校生の僕が、謎の美少女から15分1万円のバイトを持ちかけられる話。

と言ってしまえば単純なのですが、それだけでは終わらないわけで。

 

 

人間の悪意、気持ち悪さから目を逸らさずに、おぞましい事実を突きつける一方で、

それに流されない人間の強さや誠実さも感じられる。

 

まっとうに生きるって、難しいことかもしれません。

気を抜いたら、悪意に染まってしまうかもしれません。

でも、そういうことに鈍感にならずに、生きていきたいと思いました。

 

 

 

 

【第20話】塩田武士『女神のタクト』気の強いねーちゃんに気合いを入れてほしい人へ。

こんにちは。

風邪っぴきのため、死んだように寝てましたokapです。

 

 

久しぶりに体調を崩したのもあり、昨日はややメンタルも崩れていました。

こんなブログやってながら、今の自分に本を勧める気にならねーなー、と。

 

でも、よく考えたら本を読む体力もないときは寝るに限りますね。

今日一日中寝てたらマシになったので、もう一踏ん張り元気を出そうと、塩田武士『女神のタクト』を読みました。

 

女神のタクト (講談社文庫)

女神のタクト (講談社文庫)

 

 

 

物語は、三十路の女一人旅から始まります。

矢吹明菜。

まず彼女が素敵すぎる。

会社の金を使い込み、ややこしい関係だった妻子持ちの男性とも縁が切れ、あてもなく旅に出て、そのことをあっけらかんと喋る。

神戸の浜辺で偶然出会ったハイテクな老人に気に入られ、いつのまにか、崩壊しかけた楽団の再建をすることになった明菜。

持ち前の明るさ、行動力、一部の暴力を駆使して、ガヤガヤとした関係を築いていきます。

そして、そんな彼女に影響されて、周りも少しずつ動き始めます。

 

 

ひとつの楽団の再建物語でもあり、

一人の老人の最期の見届ける物語でもあり、

一人の青年の復活劇でもあり、

一人の大人になった少女が、自分を許す物語でもある。

 

 

いつだって、全身が前を向いている明菜を追いかけているうちに、いつのまにか自分も元気になっています。

 

今回、久しぶりに手にとってみると、なんと、サイン本でした。

「前進あるのみ!!」

力強い筆跡で書かれていました。

本屋さんでたまたまあったサイン本を購入したんだと思います。お会いしてみたいなあ。

 

 

元気になったら、明菜の力を借りて、また前へ歩き出そうと思います。