一歩踏み出す支えが必要な方へ。桜井美奈「塀の中の美容室」
こんにちは。
読んだものの、うまく咀嚼できていない小説もあって、更新頻度が鈍りがちなokapです。
ブログもな、どう書いていこうかな。思案中です。
まずは、桜井美奈さん「塀の中の美容室」。
初めて読む作家さんです。
刑務所の中にある美容室が舞台です。
髪を切る相手は、受刑者ではなく、一般の人。
刑務所の中に髪を切りに行けるなんて、知らなかったです。未知の世界。
筆者は、笠松刑務所に取材に行ったとあとがきに書いてらっしゃいましたが、和歌山や栃木にもあるみたいです。
本作は、ゆるく繋がる短編集となっております。
(個人的に、短編集はすべからく繋がっていてほしい派なので嬉しい)
塀の中の美容室では、美容師さんへの個人的な質問は一切禁止。
そこさえ除けば、何の変哲もない、少し値段が安い美容室です。
でも、思わず考えてしまいそう。
この人は、いったいどんな罪で捕まったのだろう。
なぜ、その罪を犯してしまったんだろう。
それを口に出すことはできなくても、そう考えたことは、きっと表情に出るんでしょうね。
ここは刑務所の中だと理解していても、そう思ってしまうんだから、受刑者の方が出所した後は、一体どんな視線に晒されるんだと思うと、身が竦みます。
東野圭吾「手紙」
「手紙」は中学生の頃に読んで、ラストシーンが理解できなかったのを覚えています。
「さよなら、ニルヴァーナ」は、まさにブログ冒頭で述べた、咀嚼できてない小説です。
どちらも、一度罪を犯した人間が、その後どう扱われるか、家族がどのような目で見られるか、克明に描かれています。
それと比べて、対照的なのが、「オーシャンズ8」
軽やかに出所するシーンから始まります。
周りの視線なんて、なんのその……というか、そんなこと気にしているんだろうか。そんな気配が一切しないけど。
この差は何故でしょう。
国土の広さと人口の違い?笑
それは置いといて。
とても、よかったです(急激になくなる語彙力)。
赦し、赦されて、そしてまた、前を向いて歩き出せる。
そんなお話でした。