【第12話】志坂圭『滔々と紅』人生を肯定したい方へ。
こんばんは。
今日は早く寝ようと思っていたのですが、なにやらこんな時間になってしまいました、okapです。
今から寝ようと思うのですが、気が立って眠れそうにありません。
読む本のチョイス、しくったかしら……。
本日紹介するのは、志坂圭『滔々と紅』
読むのは二回目なので、寝れないのは自業自得ですね。
とても、格好いい女子の話です。この場合、女子は「おなご」と読んでください。
ときは、天保の大飢饉のころ。
女衒が、一人の少女を買うところから始まります。名は駒乃。
5年も不作が続いており、あちこちに屍体の山ができる惨状のなか、口減らしのために、仕方なく、彼女は吉原へ売られていきます。
そうして飛び込んだ吉原の世界。
そこは、地獄のような場所でした。
病気になれば、外に放り出されるからと自害し、身内と恋をすれば、それがご法度だからと心中し。
逃げても直ぐに捕まり、連れ戻されて折檻され。
売られてきたときは8両ばかりだったのに、客を取るにつれ、出世するにつれ、借金ばかりが増えていく。
そんな環境のなか、駒乃は様々に名を変えながら、持ち前の気の強さで、たくましく生き抜いていきます。
花魁にまで成長した彼女が、三人の武士を毅然と追い払うシーンがなんとまあ、格好良い。
人に誇れる職業ではないけれど、花魁としての意気を貫く姿勢にしびれます。
吉原という場所で、諦め、嘆き、開き直り、少し報われ、絶望のどん底に突き落とされ。
やがて、ひとつの心残りを叶えるため、駒乃は、ある選択を下します。
まさしく、波乱万丈と言うよりほかない人生です。
まわりの環境に妥協せず、自分の意志を貫き通した駒乃。
読むと、すっと背筋が伸びる思いがします。
そして、素晴らしい舞台を観たあとのように、鳴り止まない拍手を捧げたくなる。
そのようなお話です。
駒乃の力強さに触れて、人間って、人生って、悪くないかもなと思う。
そんなお話です。