風早小夜子のブログ

本の紹介とか。漫画の紹介とか。考えてることとか。いろいろ。

【第3話】群ようこ『れんげ荘』人生をかけた決断をするかどうか悩んでいる人へ。

こんにちは。Okapです。

今日は予定もなくお休みだったので、昼まで寝て、そこからずっと本を読んでいました。

なんという幸せ。

 

 

前回も、前々回も、私がずっと大切にしている本を紹介しましたが、今日は、読みたてほやほや、一時間前に読了した本を紹介します。

 

駅前の本屋さんで手に入れた、群ようこ『れんげ荘』

 

群ようこの本って、実は初めて読んだような気がします。

 

ずっと「ぐんようこ」というお名前だと思ってました。すみません。本当は「むれようこ」でした。これからはもう間違えない。

 

 

有名広告代理店に勤めていたキョウコ。

しかし、何もかもが嫌になり、すっぱり仕事を辞め、貯金を月々10万円切り崩して生きることを決意。

折り合いの合わない母から逃れるために引っ越した先は、家賃3万の「れんげ荘」

そこで、キョウコの「なにもしない」をする生活が始まります。

 

 

なんでこの本を手に取ったかって?

仕事が嫌になってきたからです。

しがらみも全て捨てて、自分の好きなように生きる生活、憧れるゥ。

 

 

だがしかし、そうは簡単に問屋がおろしません。

仕事をしていた頃のタイムスケジュールを思い出して、そわそわ。

「何かをやらなきゃ」と思ってしまい、結局気分が塞ぐ毎日。

そんななか、尊敬できる隣部屋のご婦人や、応援したくなる青年や、職業「旅人」で物置に暮らしている少女との交流。

古い友人からのアドバイス

カビ・蚊・寒さとの戦い(なんと室内に雪が降ります)。

様々なものに励まされ、時には落ち込み、時には回復し、季節と共に暮らしていきます。

 

家賃が3万のボロボロのアパート、トイレ・シャワーは共同。

今どきの大学生でも、もっとマシなところに住んでいるでしょう。

でも、れんげ荘の住人が惨めな生活をしているかというと、全くもって、そんなことはありません。

隣部屋のご婦人(クマガイさん)は、いつも身だしなみに気を遣っており、とてもお洒落。

自家焙煎の美味しいコーヒー屋さんに通う、贅沢も知っています。

 

キョウコは、れんげ荘に住み始めて30年にもなるというクマガイさんの助けも借りながら、少しずつ、会社員時代にはできなかった生活を手に入れていきます。

 

見栄っ張りの母親からは散々言われます。

理解できない人からしたら、とことん理解できないでしょう。

しかし、姪のレイナなど、その部屋に共感を覚える人もまた、でてきます。

「私、ここ好きだよ。うまくいえないけど、住んでるっていう感じがする」

 

私は、私たちは今、「住んでる」だろうか。

ミニマリストの流行や、漫画『凪のお暇』とも共通する、ひとつの文脈を感じる。

 

私たちは、物を持ちすぎて、支配されてしまったのではないか。

私たちは、「やらなければならない」と思い込んでいるものに、囚われているのではないか。

 

この『れんげ荘』のシリーズは、3巻まで文庫化されているらしい。

続きも読もう。

 

 

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)