【第2話】倉橋燿子『ペガサスの翼』あの頃だって、今だって、抱えてる苦しさは一緒だ。
こんにちは!Okapです。
文頭だと自然とoが大文字になるんだね、さすがだね。
今日は、青い鳥文庫という正義の味方から、倉橋燿子というスーパーヒーローを紹介するよ!
第1話と違ってテンションが高いのは、明日がお休みand炭酸(FANTA)を飲んで酔っ払った気分になってるからです。
お盆明けで今日だけ出勤して、また明日休み。素晴らしい。
それでは早速!
倉橋燿子さんというのは、先述の通り青い鳥文庫を代表する作家です。
(個人的には、倉橋燿子・はやみねかおる・松原秀行が三大看板)
青い鳥文庫だけでも、『いちご』『青い天使』『カミングホーム』『ホーリースクール』『ラッキーチャーム』『月が眠る家』など多作!
そのなかでも、私が特に好きなのは、『ペガサスの翼』です。
主人公は、小学5年生の理央。
私立の小学校に通い、勉強がよくできて、運動会でも花形で、ピアノも弾けて……と大活躍だった理央。
しかし、帰国子女の麻由が転校してきます。
最初はとても仲良く過ごしますが、ジャングルジムから理央が落ち、一ヶ月入院するあいだに状況が変わってしまいます。
クラスの中心は理央だったはずなのに、麻由がすっかり花形に。
なんだか、他のみんなもよそよそしい雰囲気です。
そんな状況でも理央は頑張ろうとしますが、母親からのプレッシャーや、周りの様子にひしゃげてしまいます。
「がんばれない子なんて、お母さんはきらいよ」
なんて強烈な言葉だろう。そう言い放たれた理央の心中を思うだけで、苦しくなります。
と、ここまでが、ほんの物語の冒頭1%です。
話は、理央たち一家が、夢の牧場「ドリームファーム」に向かうところから始まります。
最初は、「お父さんたちに頼んだわけじゃないし」だの犬や馬に怯えて「こんなところ帰ろう」だのブーブー言う理央ですが、ここで運命の出会いを果たします。
牧場に運ばれてきた、一頭の白馬。
白馬と呼ぶには、あまりにも汚らしく、みすぼらしい馬。
彼は、競走馬として育てられ、サザンクロスという名前でデビューしますが、試合で結果が残せずに、あちこち売られていくことになります。
お金持ちが「馬がペットなんてかっこいい」と飼い始め、お金がかかるうえに世話が大変だと直ぐに匙を投げた結果、衰弱しきってしまった馬。
なぜあの馬がそんなに気になるのか。
居場所がなくなって牧場に来た自分と馬。
馬がこわかった。でも、この白馬のことは、ちっともこわいと思わない。
人は信じられない。でも、この少女のことは信じられる気がする。
獣医さんや、牧場のスタッフさんの懸命な看護のおかげで、そしてもちろん理央のおかげで、白馬はすっかり元気になっていき、ペガサスと理央に名付けられます。
(もちろん、そんな一筋縄ではいかないけど、ここではサクッと飛ばしますよ)
そんなペガサスと理央の日々が綴られていきます。
この物語のなにが素敵って、理央がとにかく素直なんですよ。
周りの顔色を伺って、ビクビクして、叱られないように努力していた理央から、
自分の意見を貫き、面白そうだと思ったことには悩みながらもチャレンジする理央に、
まぶしいぐらい、どんどん変わっていきます。
変貌していく理央につられて、いろんな人が少しずつ変わっていきます。
「がんばって」と常に言っていた母親は、「まずは自分が頑張る」に方向転換。
何を考えてるか分からなかった父親は、話を聞いてくれるように。
ペガサスは、立つのもやっとだった状態から、人を信頼し、人を乗せるようになり、
ひとりぼっちだったのが、子どもたちの人気者になり。
そして、この本には、全てが詰まっています。
嬉しいこと。楽しいこと。みんなと笑い合った思い出。
やりきったこと。達成感。自分への誇り。
イライラしたこと。喧嘩したこと。
仲直りしたこと。
愛情。
切ない思い。
身がちぎれるほどの悲しみ。
今までたった24年間の人生しか過ごしていませんが、
小学生で初めてこの本に出会ってから、何度読み返したか分かりません。
話の流れは全て分かっているはずなのに、いつも、いつも、涙を流す。
全員が愛おしくて、大切で、狂おしいほど。
図書館で、何度も借りて読んで。
大学生になったとき、手元にずっと置いておきたいと思い、調べてみると絶版になっていました。
慌ててAmazonで検索し、無事に入手。上中下とあるのですが、そのうち一冊は中古でしか手に入りませんでした。
紹介したにも関わらず、手に入れるのが少し難しいかもしれません。
ぜひ、お近くの図書館で探してみてください。
ドリームファーム物語 ペガサスの翼(中) (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 倉橋燿子,佐竹美保
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/07/25
- メディア: 新書
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